冒険王香港版その参








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オフィス入口

 暗いオフィスの入口。受付には警備員が一人カンビールをあおっている。そこへ酔いつぶれたチョウを背負ったシンとイボンヌが入ってくる。

シン    チャン・ファパイ!
警備員   一回俺が麻雀で勝ったからって、なんでいつまでも名前覚えてるんだ
      よ?
シン    助けてよ、彼をここに下ろしていきたいんだ。
      ドア閉めないでおいてよ。
イボンヌ  お願い彼一晩ここに泊めて欲しいの。

 イボンヌがカンビール5本を目の前に並べる。チラッと見る警備員。

警備員   じゃ急いで!
イボンヌ  大丈夫、すぐだから!

 チョウを中へと運ぶ二人。

オフィス

チョウがオフィスの椅子でつぶれたまま何かうめいている。しょうがないなあという顔で見つめる二人。イボンヌはパソコンのデスクに座り、シンはそばで木箱(アイデアボックス)を抱えている。

シン    男もこんなになったら哀れだよな!
イボンヌ  なにそれ?
シン    アイデアボックス。
イボンヌ  でも中味空っぽじゃない。
シン    いつもはね、彼がここにアイデア入れてるんだよ。
      それがもう全部出払っちゃってさ、それで書き方忘れちゃったわけ!
イボンヌ  すごくかわいそう!
      やってあげよう。

  パソコンに向かうイボンヌ。

シン    どうやって?
イボンヌ  このボックスがキーポイントになるのよ。
      だから中には何も入ってないのよ!
シン    どういうこと?
イボンヌ  彼のためにアイデア見つけてあげましょ。来て。

 パソコンデスクにシンを座らせると、イボンヌは木箱を抱えながら机の上に腰掛ける。

シン    最新作の何処でつまってるかわかるのか?
イボンヌ  ええ、わかるわよ。
      最新作ではゴールデンオックスが制御不能になったところ。

 キーボードを叩くシン。イボンヌの言葉を打ち込んでいく。

イボンヌ  まさに危機的状況よ。
      そこへスマートでハンサムな冒険王が登場。
      そう彼はとてもスマートなの!

  砂漠の中を黒い馬に乗って颯爽とシンのもとへ駆けつける冒険王。ロープでゴールデンオックスをしばり横倒しにする。喚起する人々。その帰り道、名将ロン将軍の招待をうけた冒険王とシンは、「白紙の聖書」とその箱を探して欲しいと頼まれる。手がかりとなる書類が日本大使館にあるという。冒険王とシンは顔見知りのギャングのボスに頼み日本大使館のパーティーに女装で潜り込んだ。書類は奪ったものの簡単に見つかってしまう二人。戦いの末逃げる冒険王はパーティーで出会った美しいキャミーにそっと手紙を渡す。

チョウ   冒険王とシンは風のように去り、彼女の心も奪っていった!
      そして彼女は冒険王に一生ついていこうと決心する?

オフィス

 パソコンの前で重なるように眠るシンとイボンヌ。パソコンを覗き込むチョウ。

チョウ   ばかな!そんな俺に良くしてくれる女性か?
      俺を危険にさらすなよ。
      彼女ならこうするはずだ。

 ペンと紙をとって書き始めるチョウ。

 キャミーは日本軍の上官だった。書類を取り戻すためにロン将軍と冒険王が駅のホームで会うのを待ち伏せし、将軍暗殺を企てる。十数名の部下を引き連れ日本刀を持って切りかかるキャミー

チョウ   彼女がロン将軍を殺したまさにその時、冒険王の心をもズタズタにし
      ていた。
      しかしこの冷酷な女はロン将軍を殺した後、別の悪だくみをも考えて
      いた。

オフィス

 いつの間にか明るい昼間のオフィス。熱弁をふるうチョウの言葉をパソコンに打ち込むシン。

チョウ   この世でだれも検討のつかない・・・

 ふと振り返ってタバコに火をつけるイボンヌを見るシン。

シン    君タバコ吸うの?
イボンヌ  今からね。

 画面に目を戻し、ねえねえとチョウの腕を叩くシン。

シン    チョウ・シキットさん。
      こういうロマンチックな恋愛を台無しに出来ないでしょう!
チョウ   ロマンチックか?
      俺はこれに出てくる女性のような奴に苦しめられてきたんだ。
      ロマンチックになんてどうやって書けるんだ?
イボンヌ  女性の事全然わかってないのね。
チョウ   わかってないだと?
      2年間彼女と結婚してきて俺はなにを得たか?
      品格を失い、そして俺の全信用を失ったんだ!
      それでも働けるか!
      女性をどう信用できるんだ?
イボンヌ  全く手におえない女性なんて会ったことないわよ!
シン    ええ、その通り!

 と、目線でチョウに合図するシン。その先にはいつの間にかモニカがチョウ達を眺めている

モニカ   品格を落とす必要はないわ。

 キーの束を豪快にチョウに投げつける。注目しているフロア中の社員がのけぞる。怒鳴り散らすモニカ。

モニカ   あなたの家のキーよ。私は出て行くから。
      自分の物はチェックしてよ。
      後になって物無くして私のせいにしないでね。

 怒りをこらえてキッと睨んだままのチョウ。投げたキーを再び掴んでよそに放り投げるモニカ。

モニカ   このキー要らないの?

 ヘラヘラ笑って見ていた社長の顔に命中。

モニカ   さっさと鍵変えたら?
      そうしたら合鍵作ったか疑わなくてすむでしょ。
      二度と女を信じたりしないことね。
チョウ   モニカ!

 捨てゼリフで出て行くモニカを追いかけるチョウ。ヘラヘラと笑いながらモニカを眺める社長の前で立ち止まる。

チョウ   何笑ってるんですか?
      おかしくないでしょう?

 フロア中から拍手。走り去るチョウ。急いで後を追うシンとイボンヌ。

社長    そうカリカリするなよ。

 拍手する社員に注意するように怒鳴る。

社長    なんで笑ってるんだ?

オフィスの廊下

チョウ   モニカ!

 追いついたチョウにキッと振り向くモニカ。

モニカ   何が欲しいの?
      書くのなんてやめなさいよ!
      弱虫のくせに自分の小説の中ではヒーローなのよ!
      それでも男なの?

 シン・イボンヌの後ろで野次馬たちが拍手。

社員たち  ワンダフル!チョウ夫人えらい。

 シンが野次馬に向かって。

シン    どうして拍手するんですか。

 付き合い切れないとばかりにズンズン進むモニカ。くいさがるチョウ。

チョウ   俺は鼠か?じゃあ君は誰なんだ?
      意地悪な女だな!君はいつでも男をたぶらかすのか!
モニカ   私達別れたのよ!
チョウ   君と向き会えたら黙るさ。
      向き会わないんだったら・・・

  エレベーターのボタンを押してキッと振り返るモニカ。

モニカ   何よ?
チョウ   だったら平手打ちするよ。
モニカ   エレベーターが来るから、平手打ちしたいんだったらさっさとして
よ。

 息を呑んでみつめる野次馬達。

校長    ひっぱたけ・・・

 勝手に盛り上がる校長にむかってイボンヌが迷惑げに。

イボンヌ  イッてくればいいじゃない。バシーンと。

 チョウが荒い息を整えてバンバンっと平手打ちするが、エレベーターが来てモニカはすっと場を離れる。結局かわされちゃう。

モニカ   空振りじゃない!

 モニカがさっさと乗ったエレベーターを呆然とみつめるチョウ。とぼとぼと野次馬をかき分けオフィスに戻る。シンが野次馬に意見するように声をかける。

シン    おかしくないかって?
      じゃあなんで家で自分の奥さんひっぱたかないんだ?
      楽しんでこいよ!

 ドスンという大きな音。

イボンヌ  エレベーターが事故よ!

 驚いてエレベーターに駆け寄るチョウ。

チョウ   どのエレベーターだ?

 社員が大慌てでエレベーターをこじ開ける。中に飛び込みモニカを抱きかかえるチョウ。

チョウ   モニカ・・・
      病院に運ぶんだ!

駐車場

 チョウがぐったりしたモニカを抱えて運ぶ。イボンヌが荷物を抱え、シンが自分の車にダッシュ。

チョウ   おまえのポンコツは何処だ?何処に止めてあるんだ?
      急げ!

 モニカを車に乗せるチョウ。

チョウ   キーを出せ。

 チョウが運転席に乗るとシン・イボンヌを残し走り出す。焦る二人。

イボンヌ  彼運転できるの?
シン    ああ、バイクはね。

 前進バック前進バックとガンガン他の車にぶつけてどんどん壊れていくが進まない車。
 呆然と見守るしかない二人。

イボンヌ  弁償してもらいたい?





続く







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