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安全保障に関する資料集 一 国防の基本方針 (昭和三二年五月二十日国防会議決定) (昭和三二年五月二十日閣議決定) 国防の目的は、直接及び間接の侵略を未然に防止し、万一侵略が行われるときはこれを排除し、もって民主主義を基調とするわが国の独立と平和を守ることにある。この目的を達成するための基本方針を次のとおり定める。 (一)国際連合の活動を支持し、国際間の協調をはかり、世界平和の実現を期する。 (二)民生を安定し、愛国心を高揚し、国家の安全を保障するに必要な基盤を確立する。 (三)国力国情に応じ自衛のため必要な限度において、効率的な防衛力を漸進的に整備する。 (四)外部からの侵略に対しては、将来国際連合が有効にこれを阻止する機能を果たし得るに至るまでは、 米国との安全保障体制を基調としてこれに対処する。 二 日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約(旧日米安保条約) 発効 昭和二七・四・二八 日本国は、本日連合国との平和条約に署名した。日本国は、武装を解除されているので、平和条約の効力発生の時において固有の自衛権を行使する有効な手段をもたない。 無責任な軍国主義がまだ世界から駆逐されていないので、前記の状態にある日本国には危険がある。よって、日本国は、平和条約が日本国とアメリカ合衆国の間に効力を生ずるのと同時に効力を生ずべきアメリカ合衆国との安全保障条約を希望する。 平和条約は、日本国が主権国として集団的安全保障取極を締結する権利を有することを承認し、さらに、国際連合憲章は、すべての国が個別的及ぴ集団的自衛の固有の権利を有することを承認している。これらの権利の行使として、日本国は、その防衛のための暫定措置として、日本国に対する武力攻撃を阻止するため日本国内及びその附近にアメリカ合衆国がその軍隊を維持することを希望する。 アメリカ合衆国は、平和と安全のために、現在、若干の自国軍隊を日本国内及びその附近に維持する意思がある。但し、アメリカ合衆国は、日本国が、攻撃的な脅威となり又は国際連合憲章の目的及び原則に従って平和と安全を増進すること以外に用いられるべき軍備をもつことを常に避けつつ、直接及び間接の侵略に対する自国の防衛のため漸増的に自ら責任を負うことを期待する。 よって、両国は、次のとおり協定した。 第一条 平和条約及ぴこの条約の効力発生と同時に、アメリカ合衆国の陸軍、空軍及び海軍を日本国内及びその附近に配備する権利を、日本国は、許与し、アメリカ合衆国は、これを受諾する。この軍隊は、極東における国際の平和と安全の維持に寄与し、並びに、一又は二以上の外部の国による教唆又は干渉によって引き起された日本国における大規模の内乱及び騒じようを鎮圧するため日本国政府の明示の要請に応じて与えられる援助を含めて、外部からの武力攻撃に対する日本国の安全に寄与するために使用することができる。 第二条 第一条に掲げる権利が行使される間は、日本国は、アメリカ合衆国の事前の同意なくして、基地、基地における若しくは基地に関する権利、権力若しくは権能、駐兵若しくは演習の権利又は陸軍、空軍若しくは海軍の通過の権利を第三国に許与しない。 第三条 アメリカ合衆国の軍隊の日本国内及びその附近における配備を規律する条件は、両政府間の行政協定で決定する。 第四条 この条約は、国際連合又はその他による日本区域における国際の平和と安全の維持のため充分な定をする国際連合の措置又はこれに代る個別的若しくは集団的の安全保障措置が効力を生じたと日本国及びアメリカ合衆国の政府が認めた時はいつでも効力を失うものとする。 第五条 この条約は、日本国及びアメリカ合衆国によって批准されなければならない。この条約は、批准書が両国によってワシントンで交換された時に効力を生ずる。 以上の証拠として、下名の全権委員は、この条約に署名した。 千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で、日本語及び英語により、本書二通を作成した。 日本国のために 吉田 茂 アメリカ合衆国のために デイーン・アチソン ジョーン・フォスター・ダレス アレキサンダー・ワイリー スタイルス・ブリツジス (以下略) 三 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(新日米安保条約) 発効 昭和三五・六・二三 日本国及びアメリカ合衆国は、.両国の間に伝統的に存在する平和及び友好の関係を強化し、並びに民主主義の諸原則、個人の自由及び法の支配を擁護することを希望し、 また、両国の間の一層緊密な経済的協力を促進し、並びにそれぞれの国における経済的安定及び福祉の条件を助長することを希望し、国際連合憲章の目的及び原則に対する信念並びにすべての国民及びすべての政府とともに平和のうちに生きようとする願望を再確認し、 両国が国際連合憲章に定める個別的又は集団的自衛の固有の権利を有していることを確認し、 両国が極東における国際の平和及び安全の維持に共通の関心を有することを考慮し、 相互協力及び安全保障条約を締結することを決意し、 よって、次のとおり協定する。 第一条 締約国は、国際連合憲章に定めるところに従い、それぞれが関係することのある国際紛争を平和的手段によって国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないように解決し、並びにそれぞれの国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎むことを約束する。 締約国は、他の平和愛好国と協同して、国際の平和及び安全を維持する国際連合の任務が一層効果的に遂行されるように国際連合を強化することに努力する。 第二条 締約国は、その自由な諸制度を強化することにより、これらの制度の基礎をなす原則の理解を促進することにより、並びに安定及び福祉の条件を助長することによって、平和的かつ友好的な国際関係の一層の発展に貢献する。締約国は、その国際経済政策におけるくい違いを除くことに努め、また、両国の間の経済的協力を促進する。 第三条 締約国は、個別的に及び相互に協力して、継続的かつ効果的な自助及ひ桂互援助により、武力攻撃に抵抗するそれぞれの能力を、憲法上の規定に従うことを条件として、維持し発展させる。 第四条 締約国は、この条約の実施に関して随時協議し、また、日本国の安全又は極東における国際の平和及び安全に対する脅威が生じたときはいつでも、いずれか一方の締約国の要請により協議する。 第五条 各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従って共通の危険に対処するように行動することを宣言する。 前記の武力攻撃及びその結果として執ったすべての措置は、国際連合憲章第五十一条の規定に従って直ちに国際連合安全保障理事会に報告しなければならない。その措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全を回復し及び維持するために必要な措置を執ったときは、終止しなければならない。 第六条 日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。 前記の施設及び区域の使用並びに日本国における合衆国軍隊の地位は、千九百五十二年二月二十八日に東京で署名された日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定(改正を含む。)に代わる別個の協定及び合意される他の取極により規律される。 第七条 この条約は、国際連合憲章に基づく締約国の権利及び義務又は国際の平和及び安全を維持する国際連合の責任に対しては、どのような影響も及ぼすものではなく、また、及ぼすものと解釈してはならない。 第八条 この条約は、日本国及びアメリカ合衆国により各自の憲法上の手続に従って批准されなければならない。この条約は、両国が東京で批准書を交換した日に効力を生ずる。 第九条 千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で署名された日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約は、この条約の効力発生の時に効力を失う。 第一○条 この条約は、日本区域における国際の平和及び安全の維持のため十分な定めをする国際連合の措置が効力を生じたと日本国政府及びアメリカ合衆国政府が認める時まで効力を有する。 もっとも、この条約が十年間効力を存続した後は、いずれの締約国も、他方の締約国に対しこの条約を終了させる意思を通告することができ、その場合には、この条約は、そのような通告が行なわれた後一年で終了する。 以上の証拠として、下名の全権委員は、この条約に署名した。 千九百六十年一月十九日にワシントンで、ひとしく正文である日本語及び英語により本書二通を作成した。 (署名略) 交換公文 書簡をもつて啓上いたします。本大臣は、本日署名された日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約に言及し、次のことが同条約第六条の実施に関する日本国政府の了解であることを閣下に通報する光栄を有します。 合衆国軍隊の日本国への配置における重要な変更、同軍隊の装備における重要な変更並びに日本国から行なわれる戦闘作戦行動(前記の条約第五条の規定に基づいて行なわれるものを除く。)のための基地としての日本国内の施設及び区域の使用は、日本国政府との事前の協議の主題とする。 本大臣は、閣下が、前記のことがアメリカ合衆国政府の了解でもあることを貴国政府に代わって確認されれば幸いであります。 本大臣は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向かって敬意を表します。 千九百六十年一月十九日にワシントンで 岸信介 アメリカ合衆国国務長官 クリスチャン・A・ハーター閣下 書簡をもつて啓上いたします。本長官は、本日付けの閣下の次の書簡を受領したことを確認する光栄を有します。 (日本側書簡 略) .本長官は、前記のことがアメリカ合衆国政府の了解でもあることを本国政府に代わって確認する光栄を有します。 本長官は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向かって敬意を表します。. 千九百六十年一月十九日 アメリカ合衆国国務長官 クリスチャン・A・ハーター 日本国総理大臣 岸信介閣下 書簡をもつて啓上いたします。本長官は、千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で署名されたアメリカ合衆国と日本国との間の安全保障条約、同日日本国内閣総理大臣吉田茂とアメリカ合衆国国務長官ディーン・アチソンとの間に行なわれた交換公文、千九百五十四年二月十九日に東京で署名された日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定及び本日署名されたアメリカ合衆国と日本国との間の相互協力及び安全保障条約に言及する光栄を有します。次のことが、本国政府の了解であります。 1 前記の交換公文は、日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定が効力を有する間、引き続き効 力を有する。 2 前記の協定第五条2にいう「日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約に基いてアメリカ合衆国の 使用に供せられている施設及び区域」とは、相互協力及び安全保障条約に基づいてアメリカ合衆国が使用 を許される施設及び区域を意味するものと了解される。 3 千九百五十年七月七日の安全保障理事会決議に従って設置された国際連合統一司令部の下にある合衆国 軍隊による施設及び区域の使用並びに同軍隊の日本国における地位は、相互協力及び安全保障条約に従っ て行なわれる取極により規律される。 本長官は、閣下が、前各号に述べられた本国政府の了解が貴国政府の了解でもあること及びこの了解が千九百六十年一月十九日にワシントンで署名された相互協力及び安全保障条約の効力の発生の日から実施されるものであることを貴国政府に代わって確認されれば幸いであります。 本長官は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向かって敬意を表します。 千九百六十年一月十九日 アメリカ合衆国国務長官 クリスチャン・A・ハーター 日本国総理大臣 岸信介閣下 書簡をもつて啓上いたします。本大臣は、本日付けの閣下の次の書簡を受領したことを確認する光栄を有します。 (米側書簡 略) 本大臣は、前記のことが日本国政府の了解でもあることを本国政府に代わって確認する光栄を有します。 本大臣は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向かって敬意を表します。 千九百六十年一月十九日にワシントンで 岸 信介 アメリカ合衆国国務長官 クリスチャン・A・ハーター閣下 書簡をもつて啓上いたします。本長官は、本日署名されたアメリカ合衆国と日本国との間の相互協力及び安全保障条約に言及する光栄を有します。千九百五十四年三月八日に東京で署名されたアメリカ合衆国と日本国との間の相互防衛援助協定において千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で署名されたアメリカ合衆国と日本国との間の安全保障条約及びアメリカ合衆国と日本国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定に言及しているときは、相互協力及び安全保障条約及びアメリカ合衆国と日本国との問の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定に該当する規定があれば、これに言及しているものとみなすことがアメリカ合衆国政府の了解であります。 本長官は、閣下が、前記のことが日本国政府の了解でもあること及びこの了解が相互協力及び安全保障条約の効力発生の日から実施されるものであることを貴国政府に代わって確認されれば幸いであります。 本長官は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向かって敬意を表します。 千九百六十年一月十九日 アメリカ合衆国国務長官 クリスチャン・A・ハーター 日本国総理大臣 岸信介閣下 書簡をもつて啓上いたします。本大臣は、本日付けの閣下の次の書簡を受領したことを確認する光栄を有します。 (米側書簡 略) 本大臣は、前記のことが日本国政府の了解でもあることを本国政府に代わって確認する光栄を有します。 本大臣は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向かって敬意を表します。 千九百六十年一月十九日にワシントンで 岸 信介 アメリカ合衆国国務長官 クリスチャン・A・ハーター閣下 四 日米安保共同宣言ー二一世紀に向けての同盟ー(仮訳) (東京、一九九六年四月一七日) 一 本日、総理大臣と大統領は、歴史上最も成功している二国間関係の一つである日米関係を祝した。両 首脳は、この関係が世界の平和と地域の安定並びに繁栄に深甚かつ積極的な貢献を行ってきたことを誇 りとした。日本と米国との間の堅固な同盟関係は、冷戦の期間中、アジア太平洋地域の平和と安全の確 保に役立った。我々の同盟関係は、この地域の力強い経済成長の土台であり続ける。両首脳は、日米両 国の将来の安全と繁栄がアジア太平洋地域の将来と密接に結びついていることで意見が一致した。 この同盟関係がもたらす平和と繁栄の利益は、両国政府のコミットメントのみによるものではなく、 自由と民主主義を確保するための負担を分担してきた日米両国民の貢献にもよるものである。総理大臣 と大統領は、この同盟関係を支えている人々、とりわけ、米軍を受け入れている日本の地域社会及び、 故郷を遠く離れて平和と自由を守るために身を捧げている米国の人々に対し、深い感謝の気持ちを表明 した。 二 両国政府は、過去一年余、変わりつつあるアジア太平洋地域の政治及び安全保障情勢並びに両国間の 安全保障面の関係の様々な側面について集中的な検討を行ってきた。この検討に基づいて、総理大臣と 大統領は、両国の政策を方向づける深遠な共通の価値、即ち自由の維持、民主主義の追求及び人権の尊 重に対するコミットメントを再確認した。両者は、日米間の協力の基盤は引き続き堅固であり、二一世 紀においてもこのパートナーシップが引き続き極めて重要であることで意見が一致した。 地域情勢 三 冷戦の終結以来、世界的な規模の武力紛争が生起する可能性は遠のいている。ここ数年来、この地域 の諸国の間で政治及び安全保障についての対話が拡大してきている。民主主義諸原則が益々尊重されて きている。歴史上かつてないほど繁栄が広がり、アジア太平洋という地域社会が出現しつつある。アジ ア太平洋地域は、今や世界で最も活力ある地域となっている。 しかし、同時に、この地域には依然として不安定性及び不確実性が存在する。朝鮮半島における緊張 は続いている。核兵器を含む軍事力が依然大量に集中している。未解決の領土問題、潜在的な地域紛争、 大量破壊兵器及びその運搬手段の拡散は全て地域の不安定化をもたらす要因である。 日米同盟関係と相互協力及び安全保障条約 四 総理大臣と大統領は、この地域の安定を促進し、日米両国が直面する安全保障上の課題に対処してい くことの重要性を強調した。 これに関連して総理大臣と大統領は、日本と米国との間の同盟関係が持つ重要な価値を再確認した。 両者は、「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約」(以下、日米安保条約)を基 盤とする両国間の安全保障面の関係が、共通の安全保障上の目標を達成するとともに、二一世紀に向け てアジア太平洋地域において安定的で繁栄した情勢を維持するための基礎であり続けることを再確認し た。 (a)総理大臣は、冷戦後の安全保障情勢の下で日本の防衛力が適切な役割を果たすべきことを強調する一 九九五年一一月策定の新防衛大綱において明記された日本の基本的な防衛政策を確認した。総理大臣と 大統領は、日本の防衛のための最も効果的な枠組みは、日米両国間の綿密な防衛協力であるとの点で意 見が一致した。この協力は、自衛隊の適切な防衛能力と日米安保体制の組み合わせに基づくものである。 両首脳は、日米安保条約に基づく米国の抑止力は引き続き日本の安全保障の拠り所であることを改めて 確認した。 (b)総理大臣と大統領は、米国が引き続き軍事的プレゼンスを維持することは、アジア太平洋地域の平和 と安定の維持のためにも不可欠であることで意見が一致した。両首脳は、日米間の安全保障面の関係は、 この地域における米国の肯定的な関与を支える極めて重要な柱の一つとなっているとの認識を共有し た。 大統領は、日本の防衛及びアジア太平洋地域の平和と安定に対する米国のコミットメントを強調した。 大統領は、冷戦の終結以来、アジア太平洋地域における米軍戦力について一定の調整が行われたことに 言及した。米国は、周到な評価に基づき、現在の安全保障情勢の下で米国のコミットメントを守るため には、日本におけるほぼ現在の水準を含め、この地域において、約一○万人前方展開軍事要員からなる 現在の兵力構成を維持することが必要であることを再認識した。 (c)総理大臣は、この地域において安定的かつ揺るぎのない存在であり続けるとの米国の決意を歓迎し た。総理大臣は、日本における米軍の維持のために、日本が日米安保条約に基づく施設及び区域の提供 並びに接受国支援等を通じ適切な寄与を継続することを再確認した。大統領は、米国は日本の寄与を評 価することを表明し、日本に駐留する米軍に対し財政的支援を提供する新特別協定が締結されたことを 歓迎した。 日米間の安全保障面の関係に基づく二国間協力 五 総理大臣と大統領は、この極めて重要な安全保障面での関係の信頼性を強化することを目的として、 以下の分野での協力を前進させるために努力を払うことで意見が一致した。 (a) 両国政府は、両国間の綿密な防衛協力が日米同盟関係の中心的要素であることを認識した上で、綿 密な協議を継続することが不可欠であることで意見が一致した。両国政府は、国勢情勢、とりわけアジ ア太平洋地域についての情報及び意見の交換を一層強化する。同時に、国際的な安全保障情勢において 起こりうる変化に対応して、両国政府の必要性を最もよく満たすような防衛政策並びに日本における米 軍の兵力構成を含む軍事態勢について引き続き緊密に協議する。 (b) 総理大臣と大統領は、日本と米国との間に既に構築されている綿密な協力関係を増進するため、一 九七八年の「日米防衛協力のための指針」の見直しを開始することで意見が一致した。 両首脳は、日本周辺地域において発生しうる事態で日本の平和と安全に重要な影響を与える場合にお ける日米間の協力に関する研究をはじめ、日米間の政策調整を促進する必要性につき意見が一致した。 (c) 総理大臣と大統領は、「日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間の後方支援、物品又は役務の 相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定」が一九九六年四月一五日署名され たことを歓迎し、この協定が日米間の協力関係を一層促進するものとなるよう期待を表明した。 (d)両国政府は、自衛隊と米軍との間の協力のあらゆる側面における相互運用性の重要性に留意し、次期 支援戦闘機(FXー2)等の装備に関する日米共同研究開発をはじめとする技術と装備の分野における 相互交流を充実する。 (e)両国政府は、大量破壊兵器及びその運搬手段の拡散は、両国の共通の安全保障にとり重要な意味合い を有するものであることを認識した。両国政府は、拡散を防止するため共に行動していくとともに、既 に進行中の弾道ミサイル防衛に関する研究において引き続き協力を行う。 六 総理大臣と大統領は、日米安保体制の中核的要素である米軍の円滑な日本駐留にとり、広範な日本国 民の支持と理解が不可欠であることを認識した。両首脳は、両国政府が、米軍の存在と地位に関連する 諸問題に対応するためあらゆる努力を行うことで意見が一致した。両首脳は、また、米軍と日本の地域 社会との間の相互理解を深めるため、一層努力を払うことで意見が一致した。 特に、米軍の施設及び区域が高度に集中している沖縄について、総理大臣と大統領は、日米安保条約 の目的との調和を図りつつ、米軍の施設及び区域を整理し、統合し、縮小するために必要な方策を実施 する決意を再確認した。このような観点から、両首脳は、「沖縄に関する特別行動委員会」(SACO) を通じてこれまで得られた重要な進展に満足の意を表するとともに、一九九六年四月一五日のSACO 中間報告で示された広範な措置を歓迎した。両首脳は、一九九六年一一月までに、SACOの作業を成 功裡に結実されるとの確固たるコミットメントを表明した。 地域における協力 七 総理大臣と大統領は、両国政府がアジア太平洋地域の安全保障情勢をより平和的で安定的なものとす るため、共同でも個別にも努力することで意見が一致した。これに関連して、両首脳は、日米間の安全 保障両面の関係に支えられたこの地域への米国の関与が、こうした努力の基盤となっていることを認識 した。 両首脳は、この地域における諸問題の平和的解決の重要性を強調した。両首脳は、この地域の安定と 繁栄にとり、中国が肯定的かつ建設的な役割を果たすことが極めて重要であることを強調し、この関連 で、両国は中国との協力をさらに深めていくことに関心を有することを強調した。ロシアにおいて進行 中の改革のプロセスは、地域及び世界の安定に寄与するものであり、引き続き慫慂し、協力するに足る ものである。両首脳は、また、アジア太平洋地域の平和と安定にとり、東京宣言に基づく日露関係の安 全な正常化が重要である旨述べた。両者は、朝鮮半島の安定が日米両国にとり極めて重要であることに も留意し、そのために両国が、韓国と緊密に 協力しつつ、引き続きあらゆる努力を払っていくことを 再確認した。 総理大臣と大統領は、ASEAN地域フォーラムや、将来的には北東アジアに関する安全保障対話の ような、多数国間の地域的安全保障についての対話及び協力の仕組みを更に発展させるため、両国政府 が共同して、及び地域内の他の国々と共に、作業を継続することを再認識した。 地球的規模での協力 八 総理大臣と大統領は、日米安保条約が日米同盟関係の中核であり、地球的規模の問題についての日米 協力の基盤たる相互信頼関係の土台となっていることを認識した。 総理大臣と大統領は、両国政府が平和維持活動や人道的な国際救援活動等を通じ、国際連合その他の 国際機関を支援するための協力を強化することで意見が一致した。 両国政府は、全面的核実験条約(CTBT)交渉の促進並びに大量破壊兵器及びその運搬手段の拡散 の防止を含め、軍備管理及び軍縮等の問題についての政策調整及び協力を行う。両首脳は、国連及び軍 縮等の問題についての政策調整及び協力を行う。両首脳は、国連及びAPECにおける協力や、北朝鮮 の核開発問題、中東和平プロセス及び旧ユーゴスラビアにおける和平執行プロセス等の問題についての 協力を行うことが、両国が共有する利益及び基本的価値が一層確保されるような世界を構築する一助と なるとの点で意見が一致した。 結語 九 最後に、総理大臣と大統領は、安全保障、政治及び経済という日米関係の三本柱はすべて両国の共有 する価値観及び利益に基づいており、また、日米安保条約により体現された相互信頼の基盤の上に成り 立っているとの点で意見が一致した。総理大臣と大統領は、二一世紀を目前に控え、成功を収めてきた 安全保障協力の歴史の上に立って、将来の世代のために平和と繁栄を確保すべく共に手を携えて行動し ていくとの強い決意を再確認した。 五 平成八年度以降に係る防衛計画の大綱(新防衛計画大綱) 平成七年一一月二八日安全保障会議決定 平成七年一一月二八日閣議決定 I 策定の趣旨 一 我が国は、国の独立と平和を守るため、日本国憲法の下、紛争の未然防止や解決の努力を含む国際政治 の安定を確保するための外交努力の推進、内政の安定による安全保障基盤の確立、日米安全保障体制の堅 持及び自らの適切な防衛力の整備に努めてきたところである。 二 我が国は、かかる方針の下、昭和五一年、安定化のための努力が続けられている国際情勢及び我が国周 辺の国際政治構造並びに国内諸情勢が当分の間大きく変化しないという前提に立ち、また、日米安全保障 体制の存在が国際関係の安定維持等に大きな役割を果たし続けると判断し、「防衛計画の大綱」(昭和五 一年一〇月二九日国防会議及び閣議決定。以下「大綱」という。)を策定した。爾来、我が国は、大綱に 従って防衛力の整備を進めてきたが、我が国の着実な防衛努力は、日米安全保障体制の存在及びその円滑 かつ効果的な運用を図るための努力と相まって、我が国に対する侵略の未然防止のみならず、我が国周辺 地域の平和と安定の維持に貢献している。 三 大綱策定後約二〇年が経過し、冷戦の終結等により米ソ両国 を中心とした東西間の軍事的対侍の構造 が消滅するなど国際情勢が大きく変化するとともに、主たる任務 である我が国の防衛に加え、大規模な 災害等への対応、国際平和協力業務の実施等より安定した安全保障環境の構築への貢献という分野におい ても、自衛隊の役割に対する期待が高まってきていることにかんがみ、今後の我が国の防衛力の在り方に ついて、ここに「平成八年度以降に係る防衛計画の大綱」として、新たな指針を示すこととする。 四 我が国としては、日本国憲法の下、この指針に従い、日米安全保障体制の信頼性の向上に配意しつつ、 防衛力の適切な整備、維持及び運用を図ることにより、我が国の防衛を全うするとともに、国際社会の平 和と安定に資するよう努めるものとする。 II 国際情勢 この新たな指針の策定に当たって考慮した国際情勢のすう勢は、概略次のとおりである。 一 最近の国際社会においては、冷戦の終結等に伴い、圧倒的な軍事力を背景とする東西間の軍事的対持の 構造は消滅し、世界的な規模の武力紛争が生起する可能性は遠のいている。他方、各種の領土問題は依然 存続しており、また、宗教上の対立や民族問題等に根ざす対立は、むしろ顕在化し、複雑で多様な地域紛 争が発生している。さらに、核を始めとする大量破壊兵器やミサイル等の拡散といった新たな危機が増大 するなど、国際情勢は依然として不透明・不確実な要素をはらんでいる。 二 これに対し、国家間の相互依存関係が一層進展する中で、政治、経済等の各分野において国際的な協力 を推進し、国際関係の一層の安定化を図るための各般の努力が継続されており、各種の不安定要因が深刻 な国際問題に発展することを未然に防止することが重視されている。安全保障面では、米口聞及び欧州に おいては関係諸国間の合意に基づく軍備管理・軍縮が引き続き進展しているほか、地域的な安全保障の枠 組みの活用、多国間及び二国間対話の拡大や国際連合の役割の充実へ向けた努力が進められている。 主要国は、大規模な侵略への対応を主眼としてきた軍事力について再編・合理化を進めるとともに、そ れぞれが置かれた戦略環境等を考慮しつつ、地域紛争等多様な事態への対応能力を確保するため、積極的 な努力を行っている。この努力は、国際協調に基づく国際連合等を通じた取組と相まって、より安定した 安全保障環境を構築する上でも重要な要素となっている。このような中で、米国は、その強大な力を背景 に、引き続き世界の平和と安定に大きな役割を果たし続けている。 三 我が国周辺地域においては、冷戦の 終結やソ連の崩壊といった動きの下で極東ロシアの軍事力の量的 削減や軍事態勢の変化がみられる。他方、依然として核戦力を含む大規模な軍事力が存在している中で、 多数の国が、経済発展等を背景に、軍事力の拡充ないし近代化に力を注いでいる。また、朝鮮半島におけ る緊張が継続するなど不透明・不確実な要素が残されており、安定的な安全保障環境が確立されるには至 っていない。このような状況の下で、我が国周辺地域において、我が国の安全に重大な影響を与える事態 が発生する可能性は否定できない。しかしながら、同時に、二国間対話の拡大、地域的な安全保障への取 組等、国家問の協調関係を深め、地域の安定を図ろうとする種々の動きがみられる。 日米安全保障体制を基調とする日米両国間の緊密な協力関係は、こうした安定的な安全保障環境の構築 に資するとともに、この地域の平和と安定にとって必要な米国の関与と米軍の展開を確保する基盤となり、 我が国の安全及び国際社会の安定を図る上で、引き続き重要な役割を果たしていくものと考えられる。 皿 我が国の安全保障と防衛力の役割 (我が国の安全保障と防衛の基本方針) 一 我が国は、日本国憲法の下、外交努力の推進及び内政の安定による安全保障基盤の確立を図りつつ、専 守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とならないとの基本理念に従い、日米安全保障体制を 堅持し、文民統制を確保し、非核三原則を守りつつ、節度ある防衛力を自主的に整備してきたところであ るが、かかる我が国の基本方針は、引き続きこれを堅持するものとする。 (防衛力の在り方) 二 我が国はこれまで大綱に従って、防衛力の整備を進めてきたが、この大綱は、我が国に対する軍事的脅 威に直接対抗するよりも、自らが力の空白となって我が国周辺地域における不安定要因とならないよう、 独立国としての必要最小限の基盤的な防衛力を保有するという「基盤的防衛力構想」を取り入れたもので ある。この大綱で示されている防衛力は、防衛上必要な各種の機能を備え、後方支援体制を含めてその組 織及び配備において均衡のとれた態勢を保有することを主眼としたものであり、我が国の置かれている戦 略環境、地理的特性等を踏まえて導き出されたものである。 このような基盤的な防衛力を保有するという考え方については、国際情勢のすう勢として、不透明・不 確実な要素をはらみながら国際関係の安定化を図るための各般の努力が継続されていくものとみられ、ま た、日米安全保障体制が我が国の安全及び周辺地域の平和と安定にとって引き続き重要な役割を果たし続 けるとの認識に立てば、今後ともこれを基本的に踏襲していくことが適当である。 一方、保有すべき防衛力の内容については、冷戦の終結等に伴い、我が国周辺諸国の部において軍事力 の削減や軍事態勢の変化がみられることや、地域紛争の発生や大量破壊兵器の拡散等安全保障上考慮すべ き事態が多様化していることに留意しつつ、その具体的在り方を見直し、最も効率的で適切なものとする 必要がある。また、その際、近年における科学技術の進歩、若年人口の減少傾向、格段に厳しさを増して いる経済財政事情等に配意しておかなければならない。 また、自衛隊の主たる任務が我が国の防衛であることを基本としつつ、内外諸情勢の変化や国際社会に おいて我が国の置かれている立場を考慮すれば、自衛隊もまた、社会の高度化や多様化の中で大きな影響 をもたらし得る大規模な災害等の各種の事態に対して十分に備えておくとともに、より安定した安全保障 環境の構築に向けた我が国の積極的な取組において、適時適切にその役割を担っていくべきである。今後 の我が国の防衛力については、こうした観点から、現行の防衛力の規模及び機能について見直しを行い、 その合理化・効率化・コンパクト化を一層進めるとともに、必要な機能の充実と防衛力の質的な向上を図 ることにより、多様な事態に対して有効に対応し得る防衛力を整備し、同時に事態の推移にも円滑に対応 できるように適切な弾力性を確保し得るものとすることが適当である。 (日米安全保障体制) 三 米国との安全保障体制は、我が国の安全の確保にとって必要不可欠なものであり、また、我が国周辺地 域における平和と安定を確保し、より安定した安 |
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